異音
「ヴゥゥゥン」
隣のキッチンから、異音が聞こえる。
低い、唸るような音だ。
たまに、「コン、コン」と不規則に高音が混じる。
耳を澄ませても正体がつかめない俺は、ゆっくりとキッチンへ向かう。
キッチンの扉を開ける。
キッチンをのぞき込んでみても、いつもと違っている様子はない。
再び耳を澄ます。
「ヴゥゥゥン」
音の出所は天井の方だ。
蛍光灯の近くを何か昆虫のようなものが飛び回っている。
「蜂か?」
蛍光灯にぶつかってたまに、「コン、コン」と音がしている。
「どうしてこんな所にいるんだろう?」
そんな疑問が頭をよぎるが、まずは対処が先だ。
殺してしまうのもなんなので、そのへんに片付けてあったウチワを使って玄関から追い出そうと試みる。
蜂は追い詰められ玄関の横のブレーカーの近くに止まった。
「よし、そのまま」
最後のアクションを起こそうとしたその時、なんと蜂はブレーカーのスイッチの周りの隙間に入っていく。
その動きは、まるで住み慣れた家に帰るかのようだった。
俺は、黙ってその隙間をビニールテープで止めた。
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